こどもの姿勢が崩れる意外な理由
家庭や学校 公共施設 レストラン 乗り物で
無理な姿勢を強いられているお子さんをよく目にします
足が床まで届いていないため両足をブラブラさせている子
お尻が前にすべり出て背中と首を大きく曲げて座っている子
のけぞって今にも椅子からすべり落ちそうな子
テーブルと高さがあわず、たべにくそうにゴハンを食べている子
「お行儀よく座りなさい」
「背中が丸まってる!ちゃんと背筋を伸ばして座りなさい」
そう注意しても キチンと座るのはそのときだけ
少し時間がたつとまた悪い姿勢になってしまっていますよね
叱り方が悪かったのでしょうか?
それともお子さんが言うことを聞かずわざと悪い姿勢をとっているのでしょうか?
もちろん どちらも違いますよね
では何がいけなかったのでしょう
答えは「椅子」なんです
良い姿勢にも悪い姿勢にも椅子が大きく関係しているのです
こどもにとって「大人用の椅子」はとても座り心地が悪いもの
こんな場面を想像してみてください
ある日とつぜん あなたの身長が今の3分の2になってしまいました
しかし家や家具等 自分以外のものはこれまでのまま
まるで子どもになった気分です
あなたは困りながらも いつもの食卓で食事をしようと椅子に座ったところ
こんな状態になってしまいました
- 足が床につかずブラブラ
- 座面の端にあたる太ももの裏が痛くなりモゾモゾ
- お尻がすべるのでモゾモゾと動き落ち着かない
- テーブルの高さがあわず食べにくい
- 背もたれが遠いので段々と猫背気味に
この光景 どこかで見覚えがありませんか?
そう 街ナカや店内で見かける
無理な姿勢をとらされている子どもたちと同じなんです
あなたは このような状態で ゆったりと食事ができるでしょうか
食事だけでなく
落ち着いて本を読んだり集中して勉強したり できるでしょうか
おそらく 自分の身体のサイズにあった椅子でないと難しいですよね
子どもたちにとっても同じことが言えるのです
こどもにとって大人用の椅子は ブラブラ・モゾモゾする座り心地の悪いものなんです
大人は「多少 座り心地が悪くても……」と考えがちですが
子どもに無理な姿勢のまま使い続けさせると
歯並びにも悪い影響を与えることがあるようです
食事中の姿勢で歯並びに悪影響
歯科医の倉治ななえさんの著書・子育て歯科(1998/KSS出版)によると、「大人用の椅子で子どもが無理な姿勢で食事をとっているケースが多い。このようなケースでは、子どもは食事中、足をブラブラさせていることになる。食事をさせるとアゴに力が入らず、咬合力が約15%ほどダウンすることがわかっています。(中略)歯並びをよくするためには、子どもの頃からよく噛み、アゴの骨を発育させる必要がある。にもかかわらず、多くの家庭が咬合力を低下させるような食事スタイルをとっているとしたら、大きな問題ではないだろうか」とあります
身体にあってない椅子を使っていることで 単に姿勢が悪くなるだけでなく
子どもの健やかな発育を阻害してしまうんですね
逆に言えば 身体にあった椅子を使うだけで
子どもがのびのびと成長する環境が整えられるといえます
では こどもの身体にあったサイズの椅子を使えば姿勢も自然と良くなるのでしょうか?
こどもの身体にあったサイズの椅子を使うだけで姿勢は良くなる?
さきほどの身長が3分の2になった例で感じた痛みや不便さが解消された
座り心地の良い椅子が身体のサイズにあった椅子といえると思います
こどもの身体にあったサイズの椅子とは
- 足が床にしっかり着いてブラブラしない
- 座面の端に太ももがあたっても痛くないorなりにくい
- テーブルの高さと子どもの身長にあわせ椅子の高さを調整ができる
- お尻がすべらない
- 疲れたらすぐに背もたれが使え背筋をやすませることができる
高さの違う椅子をいくつも所有・保管できれば良いのですが……
経済的にもスペース的にも現実的ではないですよね
となると
座面部分と足置き台部分の高さを調節できることが絶対条件になりますね!
お尻がすべらないようにするには
まずは板座は避け布地などの摩擦が生じるものが良さそうです
まとめると 高さ調節が可能な椅子で座面が板座以外の椅子 となります
しかし これだけでは 良い姿勢をサポートする機能としては何かが足りません
いったい何が足りないのでしょうか?
そもそも 座っているときの良い姿勢ってどんな状態なんでしょうか?
良い姿勢ってどんな状態?
意外かもしれませんが座ることって人体には大きな負担なんです
二足歩行に進化した人体の構造が座ることに適していないんですね
極力 身体の負担をかるくするため
背骨のラインが立っているときの
最も自然な状態であるS字カーブを保つことが良い姿勢となります
しかし座ると骨盤が寝るので身体はC字カーブになりがちです
C字の姿勢は腹筋や背筋の緊張が解け
なんとなくラクなようですが骨や内臓にかなり負担がかかります
椎間板への圧力は最大で立っているときの2.5倍になるそうです
その他にもC字姿勢がもたらす影響を一部抜粋しますね
- 腰痛
- ヘルニア
- 肩こり
- 首こり
- 眼精疲労
- 血行不良
- 集中力の低下
- 胃の圧迫
- 呼吸が浅くなる
などなど……
骨への負担 内臓への負担 を考えると
S字カーブで座ることが身体のために良いなのは一目瞭然です
ではなぜC字カーブで座ってしまうのでしょうか?
ヒトはなぜC字カーブで座ってしまうのか?
座ること自体 立位が基本の人体にとって大きな負担なので
S字カーブで座るとどうしても背筋が疲れてしまいます
そんな疲れて緊張した背筋をしっかりと休ませてくれる背もたれが必要となります
また休んでいるあいだにもS字を保持できるよう支えてくれる背もたれが必要です
S字を保持できるかできないか 保持しやすいかしやすくないかは
すべて背もたれにかかっているんです
しかし 多くの椅子は良い姿勢保持のサポートには無頓着で
良い姿勢で背中を休ませるためにつくられた椅子はほとんどなかったのです
そのため 骨や内臓へ負担があっても
背筋の緊張が解かれるC字姿勢 =
悪い姿勢になってしまったんですね
子どもが良い姿勢でいられるようにサポートする椅子とは?
単純に子どもの身体にあった椅子であれば
・足がブラブラしない
・テーブルの天板にあうよう高さ調整できる
を満たす椅子と考えて良さそうですが
これだけでは良い姿勢になることをサポートできないことがわかりました
子どもが良い姿勢でいられるようにサポートする椅子
つまり
子どもの姿勢を守る椅子は上2つの条件に加え
・S字カーブで座ることができる
・背筋をしっかりと休ませることができる
の2つを満たしたもの
子どもの姿勢を守る椅子の要件
- S字カーブで座ることができる
- 背筋をしっかりと休ませることができる
- 足がブラブラしない
- テーブル天板にあうよう高さ調整できる
現在 大人用の椅子やサイズだけ合わせている子ども用の椅子をお使いであれば
良い姿勢でい続けられる椅子を使いはじめてみてはいかがでしょうか